うまく食べられない・飲み込めなくなるのはなぜ?

山口新聞 令和8年3月25日(水)掲載

 食事中に「よくむせる」「上手にかめない・飲み込めない」「食べこぼしが多い」と感じたことはありませんか?近年、このようなお口の軽微な衰えを「オーラルフレイル」と呼ぶようになりました。
 これは、食べ物をお口に入れてから、かむ・飲み込むまでの流れがうまくできない状態のことを言い、それにより全身の栄養状態や精神状態にもマイナスの影響を及ぼすと考えられています。このオーラルフレイルの状態が悪化すると、本格的な摂食・嚥下障害となり、食べ物をかんだり飲み込んだりすることが難しくなります。
 オーラルフレイルの症状は多岐にわたり、「食べるとむせる」などが代表的な症状ですが、これらに関連して「食事に時間がかかる」「食べると疲れる」「食べられるものが限定される」といった兆候を示すこともあります。
 オーラルフレイルは高齢者に多く、加齢による筋力や機能の衰えが主な原因ですが、摂食や嚥下に関わる筋力の低下は若い人にも見られます。これは神経疾患や筋肉の病気など先天的な病気のほかに、生まれてからの環境や食生活(軟らかい食事が多い・硬いものを食べないなど)が要因となって、筋力に個人差が生じていると考えられます。
 したがって、年齢が若いからといって筋力があるとは限らず、潜在的にオーラルフレイルの状態になっている若年者もいるので、思い当たる症状があればまずはお近くの歯科医院へ相談してみてはいかがでしょうか?早い段階で適切な検査、治療や訓練を行うことで改善する可能性があります。

地域保健委員会 副委員長 藤井 隆彦

未来の健康を支える歯のメンテナンス

山口新聞 令和8年2月25日(水)掲載

 歯科医院が病気を治す「治療の場所」から予防による「お口の健康を守る場所」になって久しくなります。定期検診で歯科医院に来院されるとメンテナンスを行います。「メンテナンス=お口のお掃除」というイメージがありますが、お口のお掃除は「クリーニング」であって「メンテナンス」とは異なります。
 「クリーニング」とは歯の表面についた汚れを取り除き、お口の中をキレイにすることです。お口の中がさっぱりするため爽快感があります。専門的な器具を使用しますが、汚れを落とすことが主な目的です。 
 「メンテナンス」はお口の健康を長く保つための定期的な管理です。歯や歯肉の検査を行い、むし歯・歯周病のチェック、お口の清掃状態の確認をします。必要に応じてクリーニングや歯磨き方法の見直し、かみ合わせ、入れ歯の調整なども行います。口腔内の重症化予防、リスク管理が主な目的となります。車でいうと「クリーニング=洗車」「メンテナンス=車検」というイメージです。
 特に高齢の方には「メンテナンス」が重要となります。加齢による唾液の減少や免疫力の低下によりトラブルを起こしやすくなるからです。また自身での口腔ケアが難しくなるため、歯科医院で継続的なメンテナンスを受けることで早めに対処することが「歯の健康を守る近道」です。
 かかりつけの歯科医院を持つことで、自分のお口の変化が確認でき、今の自分に最適なケアを知ることもできます。食は一生です。未来の自分の健康のために「メンテナンス」をお勧めします。

山口県高等歯科衛生士学院 運営委員会 委員 梶井 泰樹

部分入れ歯のおはなし

山口新聞 令和8年1月28日(水)掲載

 入れ歯はお口の中に歯が全く残っていない場合の総入れ歯と、お口の中に歯が残っている場合の部分入れ歯の2種類に分けることができます。今回は保険適用の部分入れ歯についてお話ししたいと思います。
 部分入れ歯は歯周病、外傷やむし歯などによって失われた歯や歯肉の形態と機能を回復するために用いる取り外しができるものです。構造は残っている歯にかける金属製のバネ、人工の歯と歯の無い部分の粘膜の上に乗るピンク色の床などからできています。
 しかしながら欠点もあります。まず金属製のバネの見た目が良くないことです。特に前歯にバネがかかると目立ってしまいます。次に入れ歯の手入れが煩雑なことです。毎食後と就寝前に入れ歯の清掃をしなければなりません。そして異物感、違和感があることです。それらは徐々に薄れていく場合が多いのですが、どうしてもなじめない方もいらっしゃいます。このような場合はかかりつけの歯医者さんに相談されると良いと思います。部分入れ歯では定期的な健診がとても大切になります。残っている歯の状態が部分入れ歯の安定性に大きく関与するので、残っている歯のむし歯の状態や歯周病の状態、そして部分入れ歯の状態の3つを健診しなければなりません。
 かかりつけの歯医者さんで定期的な健診をしましょう。そして部分入れ歯を大切に上手に使って健康で快適な生活をしていただきたいと思います。

広報調査委員会 副委員長 酒井 健志